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第三章 記憶

6 記憶

二人は夜、今後について話す。

獣人は仕事人間だったため、娯楽には詳しくない。

「漫画くらいなら読んだことがある」

「描ける?」

「描いたことはない」

主人公も同じ。二人とも、何かを作る側ではなかった。

そこで主人公は、自分が知っているものを考える。何か獣人と共通項になることがこの世界の娯楽になるはずだと考えて。

「俺、好きな話ならあるぜ」

「どんなものだ?」

「野球漫画」

主人公は、自分が好きだった野球漫画について話す。

主人公が野球と出会い、チームのエースとして成長していく物語。

投手として才能がないと言われたスタート地点。

努力。

敗北。

仲間。

勝利。

そして、自分自身の限界への挑戦。

獣人は首を傾げる。

「ヤキュー?」

「野球。玉を投げて、棒で打つんだ」

「玉を使う競技なら知っている」

獣人は別の競技を説明する。

競技用の玉を持って走り、相手とぶつかり、奪い合う。二か所にある自陣まで1つしかない玉を持ちかえれば5点、投げ入れれば1点になる。

よく似た競技を知っている。詳細な得点ルールまでは明るくないし彼がいうボールの形状も楕円ではないけれど

「……ラグビーかな」

「走球という」

全く違う世界から来たもの同士、娯楽なら参加人数は多いほうがいい。この世界には野球に関する道具も環境もない。

ならば作ってみよう。

二人はそう決めて、翌日から動き出すことにした。