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第六章 二人の役割

10 二人の役割

主人公は野球のルールや試合運営を担当する。

獣人は設備を担当する。道具を改良する。看板を作る。グラウンドを整備する。

建築設計士としての腕を発揮し、最初はただの空き地だった場所を、徐々に「野球を見るための場所」へ変えていく。

主人公はスポーツ用品店で培った知識から、道具の改良案を獣人に伝えて、出来上がった道具の普及を進める。

子供には子供用の長さを選んで。ボールの素材。バットの形。

ユニフォームを作るのは難しくても、お揃いの色や小物を身に着ければ、チームっぽさが出てくることを伝えた。グローブ代わりになる革袋や靴も選ぶ際にアドバイスも惜しまない。

二人は自然と分業していく。

11 事業にする

ある夜、主人公が言う。

「これ、金取れるんじゃないか?」

獣人は考える。

この世界には娯楽がない。つまり、人々は「楽しむこと」に金を使った経験がない。しかし野球を見るためなら、人々は仕事を少し早く切り上げる。

遠い集落からわざわざ人が来る。

そこで二人は、初めて『公式試合』を開催することにする。

後ろの人も見やすいように支援者と協力して段差を活用した観客席を作った。選手が試合中に使うベンチも用意して、試合に集中しやすくした。

チケットを作る。大量の紙面を加工するだけの道具はなかったので、バットを削りだすときに出た木片の手頃な大きさのものに焼き印を押した。

試合の日を決める。

集落をチーム単位として、トーナメントを組んだ。選手を登録し、試合のルールを統一する。

そして『第一回公式野球大会』の段取りは整った。

チケットを売る。二人ともが予想していたが、最初は誰も買わない。

「なぜ見るだけなのに金を払う?」という反応が返ってくる。事前に会場近くまで移動してきた別の集落の人間も同様の反応だった。

そこで主人公は、チケットの販売ルールを見直し、予選は無料とすることに決めた。試合展開にも恵まれ、その試合は大盛況になる。

翌日の決勝はチケット制として販売するとした。チケットは選手が使っているバットと同じ材料であることも触れ込み、付加価値として伝える努力も忘れない。

予選を見た客は決勝の内容に興味があるから、今度は売れる。

野球が「遊び」から「娯楽」へ変わった瞬間だった。