あの日、世界に線を引いた

現代日本で何の変哲もない生活を送っていた男と、異世界から来た獅子頭の獣人。

神の手違いによって同時に異世界へ召喚された二人は、「箱庭」と呼ばれる世界の住人たちに生きる活力を与えなければ元の世界へ帰れないという条件を突きつけられる。

魔法も使えない。怪物も倒せない。世界を救う使命を果たすような特別な能力もない。

しかし、人間には高校時代に夢中になった野球の記憶があり、獣人には建築設計士として培った知識があった。

「玉を投げて、棒で打つんだ」

「……それの何が面白いんだ?」

半信半疑で始めた小さな遊びは、やがて人々の心を動かし、集落を越え、国中へ広がっていく。

そして二人自身も、野球という遊びを通して、互いにとってかけがえのない存在になっていく。

これは、世界を救う英雄譚ではない。

誰かが夢中になれるものを作り、その「楽しい」を誰かと分かち合うことで、二人が自分たちの居場所を見つけていく物語。

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